米軍基地は本当に沖縄を潤しているのか? 沖縄平均年収をごまかした FLASH の記事を検証する - 沖縄経済は米軍基地に依存しているという神話を信じたい人々へ

 

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さて、不安クラブでは、米海兵隊の公式サイトで展開されているあからさまな情報操作を検証してきた。

 

例えば昨年3月に出してきたこの広報。

 在沖縄米軍の地域にもたらす経済効果

 

在日海兵隊の公式サイトは、こう主張する。「米軍は沖縄県で2番目に大きな雇用主です」などと。

 

下記のブログではその壮大な虚言について検証した。

 

Point 1: 基地は沖縄の圧倒的の土地を占有し、雇用はほとんどない。

沖縄県の土地の10%を占有しておいて、何ドヤ顔なんだよ? 米軍基地関連雇用 8,522人は、沖縄県労働人口全体のわずか約1.24%に過ぎない。一例をとると、普天間飛行場宜野湾市面積の4分の一を占めながら、その日本人従業員はわずか 204人 (2014年) 、宜野湾市の従業者数 3,3821人の約0.6%だ。

Point 2: 在日米軍はそもそも雇用主ではない !

しかも、在日米軍は雇用主ですらない。日本政府 (防衛局) が「独立行政法人・駐留軍有働社党労務管理機構 (エルモ)」に委託している業務であり、その賃金も日本が払っている。

 

truthaboutokinawa.hatenablog.com

 

しかし、今回、不安クラブが検証したいのは、上の在日海兵隊 HP と時を前後して昨年三月にだされた週刊フラッシュの記事である。

 

「基地従業員の平均年収は、県民の平均年収を大きく上回っている」???

 

 

結論からいって、嘘データをもとに「平均年収の低い沖縄は基地雇用に依存している」というメッセージを拡散する内容になっているが、これも、ポータルサイトLivedoor ライブドアニュースが配信したので、多くの人の目に触れたことと思う。

 

しかし、嘘データと、この記事が暗示するメッセージとは裏腹に、ここにはまた同時に基地労働者のまぎれもないジレンマも書かれていることは興味深い。

 

沖縄の米軍基地で働く日本人「平均年収300万円」語学手当も

Smart FLASH[光文社週刊誌]スマフラ/スマートフラッシュ

 

 『嘉手納基地内にあるショッピングモール』

 

「現在、我が国には全国131カ所に在日米軍の施設があり、日本人従業員約2万4743人が勤務しています。このうち沖縄では、8522人 ほどが従事しています。比率は男性が8割、女性が2割ですね」

 こう語るのは、沖縄駐留軍労働組合の島仲正晴委員長。「駐留米軍の費用負担を増額しなければ撤退する」という公約を掲げ、大統領に就任したドナルド・トランプ米国大統領(70)。その「暴言」に揺れる沖縄米軍基地の実態を、同委員長はこう続ける。

基地従業員の平均年収は約300万円ですから、県民の平均年収の220万円を大きく上回っています(註1&2・この沖縄の平均年収がフェイクである) 同一職種、同一等級なら給与面に男女差はなく、しかも雇用主は日本政府なので倒産の心配もない。現在は人気職種となっており、倍率もかなり高いです」

 

■ ボーナスは基本給の4.2カ月分を支給

 従業員の雇用形態は常用従業員と、臨時従業員のふたつ。前者は継続的に雇用され、職種は米軍司令部の事務・技術系、技能・労務系、消防・警備系、医療系、看護系など。後者はいわゆる期間限定のパートタイムで、職種はレストラン、売店、ゴルフ場、クラブ、映画館などの補助要員で女性が多い。

「どちらも雇用主は日本政府 (註・在日海兵隊 HP さん聞いてますか? 雇用主は日本政府です) 、使用者は米軍という二重構造で、従業員の募集や給与の支払いは日本政府がおこないますが、採用、解雇、配置転換など、使用上の権限は米軍が握っています」(男性従業員)

 2015年時点で、沖縄の基地内外には約4万7300人の米兵と、その家族が居住しているという。

「これら居住者のため、基地内には売店、ボウリング場、ゴルフ場、映画館、コンビニ、学校、病院、ショッピングセンター、葬儀社まであり、まさにゆりかごから墓場まで。あらゆる業種が揃い、ひとつの街を形成しています」(女性従業員)

 日本人従業員の職種は、陸海空及び海兵隊までざっと1000種類。

 日本人従業員の給料は、職種ごとに1等級から10等級まであり、これに経験や資格などの号俸や各種手当が加算され基本給が決まる。

「たとえば事務・技術系予算分析職は、6等級3号俸で、基本給22万9400円。技能・労務系のクレーン運転手で、6等級3号俸、基本給19万1200円といった具合。これに扶養手当、家族手当、住居手当などの手当がつきます。

(この時点で基地雇用は専門職ですら予想外に雇用条件がよくないということに驚かされるだろう。これが実態である。)

 英語の能力に応じた語学手当もあって、半年に1回の語学試験で3級に合格すれば、月額4400円がつきます。夏期・年末手当も基本給の合計4.2カ月分が支給されます。ちなみに、勤務時間は週40時間です」(男性従業員)

 けっしてブラックな環境 (註3・ブラック環境) ではないが、米軍基地ならではの弊害もあるという。

「米軍が人事権を握っているため、それを楯に英語の理解力が低いなどの理由で、 恣意的解雇がおこなわれます。また8時間の勤務中、45分の休憩が認められていますが、 日本人従業員専用の休憩施設はありません苦情処理課もありますが、 日本人の担当者が米軍サイドに立って、仲間である日本人従業員を解雇するなどのパワハラも珍しくありません」(女性従業員) 

 また祝日もアメリカ式で、日本とは異なる。 

「基本的に土日は休日ですが、祝日は米国にならって日本とは異なります。たとえば、1月第3月曜日はマーティン・ルーサー・キング牧師の誕生日、7月4日は独立記念日、10月第2月曜日はコロンブスデーとなっており、祝日となります」(女性従業員)

 

■ 本気で基地撤退は絶対にありえない

 さて、トランプ大統領の駐留費増額について、島仲委員長はどう考えているのだろうか。

「ようするにもっと金を出せということであり、本気で撤退するなどありえないでしょう。現にトランプ大統領は、東シナ海の航行の自由を守ると言っており、沖縄駐留軍の必要性は十分わかっているはず。基地従業員にもなんら影響はないと思っています」

 外交評論家の孫崎享氏は、「駐留米軍は日本を守るためではなく、アメリカの戦略のために日本にいるのだから、駐留をやめることは絶対にありません。日米地位協定では、規定外の駐留経費を支払う義務はないにもかかわらず、日本は意味のないお金を肩代わりしているわけです。しかし今後は、さらに米軍の装備費用を出せと要求されると思います」と、解説する。

 上武大学ビジネス情報学部の田中秀臣教授も、次のように指摘する。 

「駐留経費の増額が公約なら、要求をつきつけてくるでしょうが、それは日本も織り込み済み。日本の負担額はすでに7600億円なので、あと500億円とか1000億円なら、そんなに大きな負担ではない。(註・高橋伸彰をトンデモ経済学者と呼びながら、一方で、おもいやり予算をさらに1000憶円追加しても大きな負担ではないという「トンデモ経済学者」がここにいる !) 国会では揉めるでしょうけどね」

週刊FLASH 2017年2月21日号)

 

さあ、ファクトチェックだ !

 

註1. はい? 県民平均年収が220万円? ← 350万です ! 

 

言っておくが、この記事は昨年 (2017年) の二月に Flash が出したものである。沖縄県民の平均年収が 220万円って、いつの時代の話かな。

 

どこから130万円以上の誤差のある数値をだしてきているのか。

 

厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査」をもとに、沖縄県の年収状況を算出すると、2016年度の沖縄県平均年収349万8800円

 

過去の厚生労働省のデータもだしてみよう。平成20年 (2008年) からみても、300万を切っていることはない。いったいこの沖縄県の平均年収が200 万と言うのは、どの統計に基づいているのか、FLASH はちゃんと確認したのかな。

 

沖縄県 平均年収(平成25年版)-年収ラボ

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註2. 逆だよ、基地従業員の平均年収は県民平均年収より大きく下回っている

 

で、この記事にあげられているデータ、県民平均年収220万が間違いであるということは確認したが、

 

この記事では、その偽の数値220万に比べて、基地従業員の平均年収は約300万であるから、平均年収よりも約80万円も上回りずいぶん魅力ある雇用だと見せたいようである。

 

が、ファクトは、こうだ。

 

昨年二月時点で沖縄駐留軍労働組合委員長が語った基地従業員の平均年収は、約300万。その同じ年度 (2016年) の県民平均年収は約350万であるから、なんと、基地雇用平均年収は沖縄の平均年収を大きく50万円近く下回るものだ。

 

しかも、これ、

基地従業員の8割は男性、2割が女性であるというから、統計的にいうと、実質はもっと深刻だ。なぜならば、沖縄県内の男性平均年収は370万円を超えるからである。

 

沖縄県 平均年収(平成25年版)-年収ラボ

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つまり、県民の平均年収が220万円であるという嘘データによると、基地雇用は魅力的に見えるかもしれないが、実にとんでもないフェイクである。

 

男性が8割を占める職場でありながら、基地雇用年収300万円は、沖縄県の男性平均年収370万円をかなり下回っているという実態が浮かび上がってくる。

 

比べてみよう、企業別平均年収

沖縄県 平均年収(平成25年版)-年収ラボ

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そして、

 

註3. 「ブラックな環境とはいわないが」、あえて言うとブラックである。

 

で、まとめると、こういう事になる。

 

1) 県内の平均年収よりも低い
2) 英語力とかの問題で恣意的な解雇がおこなわれる
3) 日本人従業員専用の休憩施設は無い
4) 日本人担当者が米軍の言いなり
5) 日本人従業員を解雇するパワハラもある

 

こんなことぐらいは県内では結構知られていて、しかも最近は非正規雇用も増えて、まったく大変だ、という話をよく聞く。なにせアウトソーシングアウトソーシングみたいなものだ。

 

 県内の基地雇用リアル ⇩

togetter.com

 

基地はむしろ経済と治安を脅かしている。

 

twitter.com

 

 

何度も言うが、リアルな沖縄の地図を見てほしい。

これが沖縄の現実だ。

 

ごっそりと米軍基地に土地を奪われ、まるで砂時計のように中央から分断されている。これでよく沖縄は頑張ってきたといつも思うのだ。

 

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しかし、なぜおおくの人々は、沖縄が基地経済に依存しているという印象を持ってしまうのか。

 

twitter.com

 

そりゃそうだ

先日の産経のデマ記事を各種ポータルサイトがご丁寧に拡散してまわる。

 

沖縄県の平均年収を130万以上も誤魔化した、こんなずさんなデタラメ記事も、ご丁寧に livedoorNews がちまたに拡散してまわる。

 

 

メディアとポータルサイトが、デマにデマを盛って沖縄ヘイトをちりばめる。そうしてヘイトと無関心とで沖縄の声を押しつぶす。

 

メディアが沖縄ヘイトデマに真剣に立ち向かわない限り、メディアは積極的に政府に加担し基地を押しつけている側にたっている。

 

本土メディアは

沖縄のリアルを正確に伝えよ。

 

ryukyushimpo.jp