【辛淑玉さん会見の書き起こし】今、日本の老若男女すべての人たちに読んでほしい言葉 - 憎悪と不安にふるえる世界で、それでも「絶望しないで !」

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2018年3月8日、デマで沖縄への偏見をあおった東京メトロポリタン・テレビジョン『ニュース女子』への第34回抗議行動は雨のなかで。

 

東京 MX テレビジョンが昨年1月に放映した『ニュース女子』の沖縄特集に関して、昨年12月14日、BPO (放送倫理・番組向上機構) による「重大な放送倫理違反があった」という意見書に続き、昨夜3月8日、BPO 放送人権委員会も、完全なる放送倫理違反、人権侵害があったと断じ、Tokyo MX 対して勧告した。

 

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その後の記者会見での、辛淑玉 (シン・スゴ) さんの言葉を、勝手ながら、ここに記録したいと思う。

 

 

というのも、その言葉は、この日本に生きているすべての人々、老いも若いも、女も男も、みんなに届けたい、日本の「いま」を語る言葉だからである。

 

この言葉に安易な解説などは不要であろう。なぜ一人の人間が、自分自身であること、そして、同じように苦しんでいる人たちのために声をあげたことのために、平穏な生活を奪われ、仕事をうばわれ、国を去ることを余儀なくされなければならないのか。

 

言葉を失うほどの、今の日本の恐るべきヘイトの現実がここにあり、しかし、それでもなお、この日本に吹き荒れる憎悪のなかで、怯えふるえる子どもたちに、絶望しないで、絶望しないでいてください、と語りかける。

 

その辛さんの強い愛に裏打ちされた言葉を、ひとりでも多くのひとに届けたいと思うのだ。

  

記者会見での辛淑玉さんの言葉

今回の BPO 勧告の意義

今日はこんなに寒い中、こんなにたくさんの人に来ていただいて、本当にありがとうございました。あの、最初にこの決定を聞いた時に、民族差別にも触れておりましたので、涙が出ました。 この社会で一緒に暮らしていく在日の人権、少数者(マイノリティー) の人権が、こういう形で BPO で語られたことは、とても嬉しく思っています。

 

同時にBPO がこれを口にしたということは、またBPO も私と同じようにたたかれるということです。それでも BPO の決断は放送人の最後の良心の決断だったと私は感じています。 

 

どんなに政権におもねった番組を作っても、どんなに視聴率の稼げるような番組を作っても、これはダメなんだ、これは放送人としてはやってはいけないんだ、ということを (BPOは) 明確に指し示してくれたと、私は思っています。 

 

その意味で、私自身はこれを訴えるのはとてもきつかったです。それを支えてくれたのは、私以上に、怒り、悲しみ、声を上げてくれたカウンターの人たち、それから新聞記者の人たち、ネットニュースの人たち、雑誌の人たち。 

 

私は (最初は) 自分に起きてることがわかりませんでした。私が、そういった形で「これおかしい」っていって書いてくれた記事を、きちんと読むことができたのは、昨年の8月です。それまではひとつひとつを精査して読むことは、恥ずかしい話ですが、・・・私にはできませんでした・・・。

 

読みながら、日本社会の良心はまだある・・・、と思いました。ですから本当に、小さなメディアの人達も含めて、その人たちの力があったので、自分も壊れずに絶望することもなく、ここまでこれたこと、本当にお礼申し上げます。

 

MX はデマやヘイトを裏書きし地上波にのせた

MX のやったことは罪が深いです。今までネットの中であったデマを、保険をつけ、社会に飛びたたせました。 そのデマはいかにむごいものなのか、少しでも近代史を学んだ人であるならば、少しでも目の前の少数者 (マイノリティー) のことと関わった人であるならば、それは容易に想像のつくものでした。世界中のネオコンも含め、メディアがターゲットを名指しし、それに共感した人が具体的にテロ行為に及ぶ、それの繰り返しでした。私が、今日、ここの記者会見に出ようと思ったのは、民族団体の本部が襲撃されたからです。

 

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去年の段階でテロは起きるなと思いました。

 

それはもちろん私に起きるかもしれないし、なんらかの象徴的な人たちに対していくだろうと思いました。それは、自分の周りにあるものがどんどんどんどん変わってきて、沸点がどんどんどんどん低くなってきて、かつて、テポドンの時、拉致疑惑の時、さまざまな時に大量の暴行事件が発生しました。一瞬に湧き上がるあの暴力の凄まじさを体験してきています。

 

ヘイトからうみだされるヘイトクライム

そして民族団体を襲撃した彼らは、私たちがヘイトの相手として戦ってきた人です。つまりヘイトからテロに確実に時代は移行しました。その扉を開いたのは MX です。やってはいけないこと、だったと思います。 

 

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今、きっちりとした BPO からの決定が出たからこそ、彼らはまた必死になってまた私や BP を叩いてくると思います。なぜならば、言論とメディアをいかに自分たちの手に持ってくるのか、それが彼らの目的だからです。どんな手段を使っても、これからどんなひどいことを書かれるかと思います

 

が、でも、皆さんと一緒に止めたいんです。皆さんと一緒に、言論で止めて行きたいのです。 そのきっかけを BPO がくれたこと、こころから感謝します。 

 

ヘイトとの闘い

 今、私たちの周りにどんな状況があるのかというのを、少し前に簡単にパワーポイントにしてみました。ちょっとだけざらっと流させてください。

 

ヘイトとの闘いは私でいえば 2007年からです。花岡事件のあの時に、囲まれたのが、囲まれて罵倒されながら一緒に何十mも歩いたのが初めてでした。 

 

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ヘイトスピーチがあり、嫌韓があり。

 

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そしてこれは最近出た雑誌です。全部がむごたらしい文言で彩られています。この記者は大久保を取材したいと言ってきたそうです。しかし出てくるものはとても一緒に多文化共生の街を作っていくというような雑誌ではありません。  

 

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そして町には嫌韓本がいっぱいあり、

 

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雑誌もそういうもので語られ、

 

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塚本幼稚園では「よこしまな考え方を持った在日韓国人シナ人」といった内容の文章が送られ、 

 

dot.asahi.com 

私「辛淑玉氏など在日朝鮮人による反日反米工作を糾弾する国民集会」みたいなものも開かれ、

 

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百田さんは相変わらず妄想の世界で生きていて、「北朝鮮のミサイルで私の家族が死に私が生き残れば私はテロ組織を作って日本国内の敵を潰していく」ということは、まさにここに来ている私たちのことでした。 

 

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イオ信組が放火事件を受けました。これはイオ信組というのはいわゆる朝鮮総連系と言われています。だけどもこの人、放火をした人は朝鮮総連とか韓国とか全くわからないんです。韓国の、戦時性暴力の被害者の問題で頭にきて、同じ朝鮮人だからひと山いくらという形で放火をしました。 

 

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japanese.joins.com 

そしてその他にも出自を求め蓮舫の「国籍を、戸籍を見せろ」というそういう声もあがりました。この時、私は夢で蓮舫に泣いて頼んだんですね、自分がこんな夢を見ると思いませんでした。あんたが、あんたがそれをやったら、どれだけ多くの人がその出自を問われるかわからないから、やめてくれと夢で泣きながら言いました。 

 

mainichi.jp

 

そして Twitter では「朝鮮人を皆殺しにしろ」とかいろんなことがあります。もう色々発言するために後ろにくっついてくるものを見ると本当に、本当につらくなります。

 

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そして今度は「今こそ韓国に謝ろう」と言いながらつまり笑いながら、相手を侮蔑しながら叩きます。

 

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朝鮮人慰霊碑追悼文を拒否したのは小池さんでした。 

 

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私たちは私たちの歴史そのものが存在そのものが否定されている社会の中にいます。そして「北朝鮮のスパイが入り込んでいる」、そういったことがワイドショーでもどこでも平気で語られる。 

 

 

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matome.naver.jp

 

そして今度は「在日は済州島で幸せに暮らしてね」と。まさにソフトな嫌がらせで。 

 

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news.livedoor.com

 

そして今回の事件がありました。 

 

日本で生きる子どもたちへ、絶望しないで

毎日が皆さんにとってはごく多くの情報の中の一つかもしれません。でもそれは私や出自の異なる人たちにとっては大変重い情報として届きます。

 

日本社会の中で生きていて、語れる相手もなく、自分の出自を学ぶこともできず、ふるえている子たちが目の前に浮かびます。 その子たちに、ごめんなさいって、伝えたいです。

 

本当にヘタレな朝鮮人のおとなで申し訳ない、あなた達を守れなくて本当にごめんなさい。だけど頑張るから、絶望しないで。日本には良心がある人たちがまだたくさんいて、あなたはまだ出会ってないから、だから絶望しないでいてください。そしてごめんなさい、もう少し頑張るから、とお伝えしてお礼とさせていただきたいと思います。 

 

ネットのデマやヘイトは散弾銃のようなもの

 インターネットっていうのは散弾銃なんですね。打ち込まれたら八つ裂きになります。そして世界中どこに行ってもその画像がひかれます。ヨーロッパで仕事をしていてもアメリカで仕事をしていても、必ず検索があります。消すことができない。毎回説明しなければいけない。そして多くの人たちはそれを検証するすべを持っていません。日常生活が無くなるというのを、どうお伝えしたらいいかなあと思うんです。 

 

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日本からドイツへ、安心して郵便受けを開けることができる日々

 私がドイツに行って一番最初に驚いたこと。ポスト開けるときに安心してあげられるということです。 ネットで拡散されれば、必ず次はそのネットをベースにして具体的な行動に移してくる人たちが必ずいます。それは小さな段階でもそうだし、駅で出会う人もそうだし、その数が爆発的に増えるということです。

 

ドイツに行って初めて、ああ、ポストを開けて何かお便りが来るっていうのは、こんなに楽しいことなのか、って思いました。 

 

自分の国籍のことが沖縄を攻撃するために使われたこと

今回私がこう心を打ち砕かれたことに関して申し上げるならば、複雑骨折みたいな感じなんですね。

 

私自身がなぜここまで自分が折れたのかというのを、自分が理解するのに、まだ整理が付いていません。 ただ確かなことは、私の出自を使って・・・、変えることのできない出自を使って、沖縄を叩いたということです。それは自分がたたかれる、ストレートにたたかれるよりかも、何倍もこたえました。 そういう複雑骨折があっちこっちで起きるんですね。

 

日本に吹き荒れるヘイトのなかで生きるということ

 普通の生活をしたい、駅にいった時にジロジロ見られたくない、ひそひそ語られたくない、クリーニング屋に行った時にシミがついてたらこれも一度やり直してくださいって気軽にいいたい、辛っていう名前を書いて病院に行ったらちゃんと見てくれるのかな、インターネットの中で歯医者さんや医師を標榜する、自称かそれはわかりません、その人たちのヘイトもすごいです。 

 

つまり、あらゆる職業の人がそれをやっている、それを真に目の前で見る。そうすると直接自分に言ってることではないけれど、このお蕎麦屋さんに入ったらちゃんとしたもの出してくれるのかな、とか。そういう不安を抱きながら、生きる・・・。 

 

日本のマジョリティーの人々が理解しようとしないこと

私と社会との関係をいつも考えなければいけない生き方っていうのは、人一人の人生を考えたら、ものすごくむごいことなんですよ。でもそういうことをマジョリティの人に理解してもらう言葉を私は持っていません。私が感じる感性を多くのマジョリティーの人にはなかなか届かないんですね。 

 

仕事も、なくなるというのは、どういうことか分かりますか。クライアントのところに毎回っていいほど嫌がらせが入ります、抗議があります。そのためにクライアントを支えながら仕事をしなきゃいけない。仕事現場に来る人たち、一回や二回ではないんです。ほぼ全てです。

 

日本人の感情のゴミ箱として自分が使われた

そして日本の人の感情のゴミ箱として自分が使われる。韓国のことを言われたり、北朝鮮の事を言われたり、誰も私が在日で朝鮮人韓国籍で永住権を持ってると言ってもそれがなんだか全くわからない。いつも、いつも、自分のことを説明しなければ先に進まない。 

 

そして自分の存在が自分が大切にしてる人を傷つけるなり、自分の子供が窮地に落ちるなんて思ったら、私だってネトウヨに愛される右翼になると思いますよ。 

 

何をされたのかということを語りだしたらきりがない。ただはっきり、この歳でわかったのは日本の社会でモノを言う朝鮮人の女というのは、ゴキブリ以下に扱われるんだなということです。そして多くの人たちはそれを笑いながらやるんです。

 

そしてまたもっと多くの人たちはそれを止めるすべを知らない。ネットでたたかれること以外に、それに付随することによって壊れていくんです。私は・・・、ごめんなさいね、すいません・・・。なんかあの・・・。 

 

日本に裏切られ続けてきた沖縄の苦しみ

1972年生まれの沖縄の子で、栄作というふうについた名前の子がいます。私の知り合いでいうならば、知人といったがいいでしょうね、3人いました。最初はわかりませんでした。二人目の時もわかりませんでした。そして去年か一昨年、初めて、どうして栄作という名前がついたのか、ひよっとして佐藤栄作のこと? って聞きました。 

 

沖縄復帰の、あの時に、自分の子どもに栄作という名前をつけた親の思いや、人生や日本社会に託した願いや希望や未来を、思うんですね。どんなにこの社会に夢を持って、子供に栄作って名前をつけたのかって思うんです。 

 

それを思うと、日本の国っていうのは、なんてむごいことをし続けるんだろう、って思うんですね。一人一人の生きてきたところからその国や政治のあり方を見ていった時に、もっと優しくできるはずだと思うんです。 

 

私の国籍で、しかも全部デマで、それで沖縄を叩かないで

それを、私の出自で、しかも全部デマで、それで沖縄をたたかないでほしい。それはひどいことなんですよ。人間としてやっちゃいけないことなんですよ。

 

そして、そういう、ひとつひとつが (日本で) 共感されない、評価されない、そのこともまた自分をうつんです。

 

辛さんは、自分の国籍、在日であること、が沖縄を叩くことに利用され、それが、心を打ちのめしたという。

 

いや、もうしわけなさは逆なのだ。

 

21世紀、この日本で、一人の人間が、沖縄の状況に心をよせ、沖縄とともにたったことのせいで、それで在日差別をあおられ、デマや脅しにあい、立つ必要のないはずの矢面にたたされ、国外に逃れることを余儀なくされていった。

 

そのことを真に恥ずかしく思わなければならないのは、いったい誰なのか。少なくとも辛さんでない事だけは確かなのだ。

 

私たちは忘れない。こうやって沖縄とともに声をあげてくださったことを、辛淑玉というひとを、わたしたちはこれからもずっと忘れることはないだろう。

 

私たちも同じだからだ。

 

ひとりの子どもも絶望することがないように、

ひとりの子どもも差別と戦争に怯えふるえることがないように。

 

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